粗大運動って何?子どもの発達に果たす役割や実際のプログラム例を紹介します!
COLUMN
AIAI VISITで提供が可能な粗大運動プログラムと感覚統合の関係性についてご紹介します。
「粗大運動」とは
粗大運動とは、大きな動きを伴う運動で、日常生活の土台となる体の動きのことを言います。具体的に例を挙げると、「立つ」「かがむ」「支える」「座る」「姿勢を保つ」「歩く」「ジャンプする」「バランスをとる」といった、生活するうえで必要となる動作のことです。
「粗大運動」と「微細運動」の違い
粗大運動は大きな動きを伴う日常生活に必要な動きのことですが、「微細運動」は手や指先の動きを伴う運動です。
「食器を使う」「字を書く」「積み木を重ねる」など、道具を扱う動きが粗大運動との大きな違いです。目で見て感じて考えて、ちょうどよく動かす、目的を持って操作する、運動・感覚・認知を相互に調整する働きと目と手の協調などが大切になります。
「粗大運動」の発達の目安
月齢や年齢に応じた粗大運動の発達の目安についてご紹介します。ただし、子どもの発達は一人ひとり異なるため、これらの発達はあくまでも目安になります。
0ヶ月~3ヶ月の粗大運動の発達の目安
生後3ヶ月頃になると首がすわりはじめ、手や足を自分の意志で動かせるようになります。
3ヶ月~6ヶ月の粗大運動の発達の目安
自分で頭を上げたり、寝返りができるようになります。支えがあれば座っていられるようになります。
6ヶ月~9ヶ月の粗大運動の発達の目安
手や足の力がつき、ずりばいが始まります。ずりばいをせずに四つん這いで移動するハイハイを始める子もいます。
9ヶ月~12ヶ月(1歳)の粗大運動の発達の目安
つかまり立ちや、つかまったものを伝って移動するつたい歩きを始めます。立っていられる時間がのびていきます。
1歳~1歳半の粗大運動の発達の目安
支えがなくても一人で歩けるようになってきます。階段を上ったり下りたりできるようになるなど足腰が強くなり、バランス感覚の発達が見られるようになります。
1歳半~2歳の粗大運動の発達の目安
おもちゃの車に乗って、足でけりながら走らせることができるようなります。体操や追いかけっこ、ボールを投げたり蹴ったりといった全身を使った遊びを楽しめるようになります。
2歳~2歳半の粗大運動の発達の目安
鉄棒にぶら下がる、ジャンプする、片足ずつ階段を上るなど、体のバランスを取りながら動くことができるようになります。
2歳半~3歳の粗大運動の発達の目安
片足立ち、平均台を移動するなど自分の身体を思い通りに動かせるようになってきます。音楽に合わせて身体を動かすなども楽しめるようになります。
粗大運動が療育に果たす役割
療育では、子どもに合わせて総合的に発達を促していくことが重要です。粗大運動は生活の中で自然に身に着けていくことができますが、発達に特性があると人よりも時間がかかったり、間違って身に着けてしまうといったことが起こります。療育では、大人の働きかけによって発達の初歩に戻り、経験不十分になってしまった段階をあらためて経験し直すことで学習されます。
役割① 身体的発達の促進
子どもが筋力や持久力を自然に高め、身体のバランスをうまくとれるようになることで、さまざまな動きに自信を持てるようになります。日常生活の動作もスムーズになり、のびのびと遊びや運動に取り組めるようになります。
役割② 感覚統合の改善
子ども自身がイメージして動作を行うことを支援し、感覚統合を促進します。感覚統合とは、生活の中でさまざまな感覚器官を通じて身体に入ってくる複数の感覚を脳で正しく整理したりまとめたりする働きのことです。
ボールが投げられない、ハサミをうまく使えないといった要因には、「視点が定まらない」「手足をうまく使えない」「バランスが取れず、不安定になる」といった感覚統合がうまくいっていないケースが見られます。粗大運動では、子どもが楽しくてわくわくする活動を大事にしながら、感覚統合を促せるように支援をしていきます。
役割③ 社会性の向上
運動プログラムの最中には、「挨拶をする」「順番を抜かさずに待つ」「話を聞く」「周囲を見る」「友達を応援する」といった社会性を養う支援を同時に行います。対人関係スキル(SST:ソーシャルスキルトレーニング)要素をプログラムに入れることで、日常生活においても他者を意識した行動がとれるようになります。
役割④ 自己効力感の向上
粗大運動を通じて子どもは成功体験を積み重ねていきます。
「できる」という自己効力感を高めることで、失敗を恐れずに挑戦していく前向きな姿勢が育ちます。自己効力感は、子どもの「生きる力」を育むことに繋がります。
保育所等訪問支援「AIAI VISIT」が実際に行っている粗大運動プログラム
AIAI VISITの粗大運動プログラムは、作業療法士、養護教諭が監修したプログラムを提供しています。
訪問支援は子どもの生活環境に合わせた支援を行うため、訪問先の遊具や器具を使って行う支援と、AIAI独自の運動プログラム「Break it kids」を使って行うものがあります。
例① 感覚の鈍麻・過敏が見られる子ども向け
感覚への感じにくさや過敏さが見られる場合は、どの運動をするときにも弱くて優しい感覚から取り入れていきます。例えば、手のひらで触れて重みを感じながら支える、足の裏に体重がかかる感じをゆっくり味わいながらのぼる、渡る、といったように行います。マット運動では「えんぴつころころ」などをします。
例② 体幹が弱く・姿勢を保つことが難しい子ども向け
体幹が弱い、姿勢を保つことが難しい子どもの多くに「ずり這い」が苦手な傾向があります。例えば「平均台の上にまたがって進む」といった動きは、左右対称まっすぐに伸びた体幹作りに最適です。必ず種目と種目の合間に「止まってから動く」ようにするのも体幹や姿勢を育てる機会になります。
例③ 身辺自立に影響する身体の動きが不器用な子ども向け
身体のそれぞれの部位の動きを組み合わせるのが苦手な子どもには、鉄棒を使うのが良いです。鉄棒は握力の強化やスムーズな重心移動、姿勢保持にも効果的です。肩回りが強くなると、安定した姿勢の中で両腕・両手を動かすことができます。回転する動きは、姿勢の安定化や空間認識能力に働きかけ、日常的な動きがスムーズになります。「ぶらさがり」「だんごむしぶらさがり」「すずめ」「つばめ」が上手にできるようになると良いですね。
「粗大運動プログラム」の感想は?
AIAIの療育に寄せられる感想の中には、粗大運動プログラムによる発達の向上が感じられる感想が寄せられています。
「粗大運動プログラム」を使った子どもの保護者の話
座っている姿がしっかりとしてきた、落ち着きがないところが気になっていたが、じっとしていることができるようになってきた、というお声をいただきました。
これは、認知機能の向上と体幹の安定による物事の見通しができるようになったことで、情緒が安定してじっと座って待つといった動作ができるようになったのだと考えられます。
「粗大運動プログラム」以外にも!保育所等訪問支援・AIAI VISITでできること
AIAI VISITでは、運動と学習を一体的なプログラムで提供しています。
運動プログラムでは、有酸素運動も同時に行う「Break it kids」や、学習プログラムでは「微細運動プログラム」、「IQパズル(いっきゅうぱずる)」、「ろんり(論理)」といった子どもの「できる!」を育てるための独自の療育プログラムを提供しています。
※参考※
まとめ
粗大運動は日常生活に必要な動きとなるため、発達に特性があるとあらゆる場面で困難を感じやすくなります。AIAI VISITではお子さまの動きを観察しながら、得意なこと、苦手なことを把握し、感覚統合を促すための運動プログラムを提供します。
お子さまの通う保育園や幼稚園にある遊具や運動器具を使って提供が可能ですので、お子さまに運動機能の苦手やお困りごとがございましたら、お問合せください。
監修:中山奈保子(作業療法士)