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ダウン症(ダウン症候群)とは?原因や特徴、支援方法について解説します

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ダウン症(ダウン症候群)は、21番目の染色体が余分に存在することによって引き起こされる生まれつきの疾患です。この遺伝的異常は、身体的および知的な発達に影響を与えますが、適切な支援と治療を受けることで、生活の質は大きく向上します。この記事では、ダウン症の特徴や原因、診断方法、接し方について詳しく解説します。

ダウン症(ダウン症候群)とは

ダウン症(ダウン症候群)は、染色体の突然変異により生じる生まれつきの疾患です。通常、人間には46本の染色体が存在しますが、ダウン症の人々は21番目の染色体が1本余分に存在しているため、通常よりも多い47本の染色体を持っています。この異常が、身体的および知的な発達に影響を与えます。

ダウン症の特徴的な症状には、筋肉の緊張が低いため動きが遅い、発達が遅れるなどがあります。しかし、発達の道筋は通常の子どもとほぼ同じであり、全体的にはゆっくりと成長していきます。発達の遅れや身体的な特徴は個人差が大きく、全ての人に同じ症状が現れるわけではありません。

また、ダウン症の人々は心臓疾患や消化器系の問題、目の疾患、難聴、甲状腺の異常など、他の疾患を併発することがあります。しかし、適切な支援と治療により、生活の質を向上させることが可能です。

ダウン症の原因と3つのタイプとは

世界中で、ダウン症はおおよそ800人〜1,000人に1人の割合で生まれており、日本では現在約8万人のダウン症の方がいると推計されています。ダウン症には主に3つのタイプがあり、それぞれ異なる原因と特徴があります。

① 21トリソミー

21トリソミーは、ダウン症の中で最も一般的なタイプで、約95%を占めます。

このタイプでは、21番目の染色体が3本存在することによって発症します。通常、染色体は2本1組で存在しますが、21トリソミーでは21番目の染色体が3本あり、これが原因でダウン症の特徴が現れます。

この異常は、卵子や精子が分裂する過程で起こる染色体の分配ミスによって生じることがほとんどです。21トリソミーは特定の遺伝的要因に関わるものではなく、年齢が高い母親からの出産で発症リスクが高まる傾向があると言われています。

② 転座型

転座型ダウン症は、21番目の染色体が余分に1本存在するわけではなく、21番目の染色体が他の染色体に結びついていることが特徴です。これにより、21番目の染色体が追加されているのと同じ状態になりますが、転座型では、この異常が染色体の位置の異常として現れます。

このタイプのダウン症は、全体の約4〜5%に見られます。転座型ダウン症は遺伝的に親から子へと引き継がれることがありますが、親が健常である場合もあり、遺伝子検査を通じて確認されることが一般的です。

③ モザイク型

モザイク型ダウン症は、21トリソミーと似た特徴を持ちながらも、細胞の一部でのみ染色体異常が現れるという特徴があります。この場合、体内の一部の細胞が通常通り46本の染色体を持っている一方で、他の細胞では47本の染色体を持つという状態です。

モザイク型ダウン症は、ダウン症全体の約1〜2%に見られる非常に稀なタイプです。症状や発達の遅れは21トリソミーに比べて軽度なことが多いですが、個々の症例によってその程度は異なります。モザイク型は細胞分裂の過程で染色体が正しく分配されなかった場合に発生します。

各タイプによってダウン症の症状や発達具合には個人差がありますが、いずれも早期の支援や療育が重要で、適切なサポートを受けることで、より良い生活の質を実現することが可能です。

ダウン症(ダウン症候群)で見られる特徴とは

ダウン症は、一人ひとりの発達や体の特徴に差がありますが、いくつか共通する特徴が見られます。これらの特徴はダウン症を持つ人々にしばしば見られるものではありますが、個別の症例ごとに差があるため、すべてのダウン症の人々に当てはまるわけではありません。ダウン症の特徴は身体的なものから精神的なものまで多岐にわたりますが、適切な支援やケアにより、日常生活においても充実した生活を送ることが可能です。

ダウン症の子どもの特徴について

ダウン症の子どもは、言葉の発達に遅れが見られることが一般的です。発音が不明瞭で、言葉を覚えるのに時間がかかることがあります。

加えて、聴力に問題がある場合もあります。聴覚障害があると、言葉の理解や発話にさらに遅れが出る可能性があるため、定期的な耳の検査が推奨されます。

しかし、適切な療育や音声訓練を受けることで、言葉やコミュニケーション能力の発達を助けることができます。また、筋力が低いため、歩行や運動の発達が遅れることもありますが、リハビリテーションや運動療法を行うことで改善されることが多いです。

ダウン症の子どもの顔つきについて

ダウン症の子どもに見られる顔つきの特徴として、目が斜めに吊り上がっているように見えることがあります。また、耳が低い位置にあることや、鼻が低く、平坦な顔立ちを持つことがよくあります。

これらの特徴はダウン症に特有の傾向として見られるものであり、すべてのダウン症の子どもに当てはまるわけではありません。顔の特徴は遺伝による要素も大きく、両親から受け継いだ顔つきが反映されるため、家族ごとの個性が現れることが多いです。

このため、顔つきの特徴だけでダウン症を判断することはできず、医師による診断が重要です。

ダウン症の子どもの性格について

ダウン症の子どもは、一般的に性格が明るく、陽気で人懐っこいと言われることが多いです。周囲の人々と積極的に関わろうとする姿勢を見せ、愛情深く、素直な性格の子どもが多い傾向にあります。

しかし、性格は個人差が大きく、ダウン症の子どもも他の子どもと同様に一人ひとり異なった性格をしています。例えば、内向的だったり、人見知りをする子どももいれば、非常に活発で社交的な子どももいます。このため、性格の違いを理解し、個々の特性に応じた接し方が大切です。

ダウン症の子どもによく見られる合併症について

ダウン症の子どもは、他の疾患を併発することがよくあります。特に心臓疾患はダウン症の子どもに見られる主要な合併症の一つで、約50%の子どもが何らかの心疾患を抱えていると言われています。また、消化器系の問題(消化不良や腸閉塞など)や、甲状腺機能低下症、視力や聴力の障害も見られることがあります。さらに、免疫機能が弱いことも多く、感染症にかかりやすくなるため、健康管理に特別な配慮が必要です。これらの合併症には早期の診断と適切な治療が重要です。

ダウン症と寿命について

以前はダウン症の方は寿命が短いと考えられていましたが、現在では医学の進歩により、その平均寿命は大きく伸びています。かつてはダウン症の方の平均寿命は30代前半程度とされていましたが、現在では60歳以上まで生きることも珍しくなくなっています。これには、心臓病やその他の合併症に対する治療法の向上、予防接種や健康管理が進んだことが寄与しています。多くのダウン症の方々が、支援を受けながらも社会で活躍し、充実した生活を送ることができるようになっています。

ダウン症(ダウン症候群)の子どもとの接し方のポイント

ダウン症のある子どもと接する際は、彼らの個性や特性に合わせた方法でコミュニケーションを取ることが重要です。子ども一人ひとりに異なる特性があるため、柔軟で思いやりのあるアプローチが求められます。ここでは、ダウン症のある子どもとの接し方のポイントをいくつかご紹介します。

① それぞれの個性やできることに着目する

ダウン症の子どもも、他の子どもたちと同じように、個々に得意なことや特性があります。彼らの強みを見つけて、それを伸ばすことが大切です。

例えば、音楽や絵画、運動など、得意な分野に注力することで自信を持たせることができます。また、できることに焦点を当て、過度に焦らせず、一つひとつ達成感を感じさせることが成長を促します。子どもをサポートする際は、できることを増やしていくポジティブな方法を取り入れ、他の子どもと同じように価値を感じられる環境を提供しましょう。

② 早期療育を利用する

ダウン症のある子どもは、早期に療育を受けることで、発達を促進することができます。

療育は、言語、運動、社会性など、さまざまな分野で支援を行い、子どもが可能な限り自立できるように助けます。早期療育を利用することで、発達の遅れを最小限に抑えることができ、生活の質を高めることができます。発達支援(療育)について詳しく知りたい方は、関連記事を参照してください。

③ 言葉や視覚的な情報を使って積極的にコミュニケーションを取る

ダウン症の子どもは、言語の発達に遅れが見られることがありますが、視覚的な情報を利用することでコミュニケーションがスムーズに進む場合があります。

例えば、絵カードやジェスチャーを使ったコミュニケーション方法が有効です。また、言葉に加えて、簡単な指示や感情を伝えるための視覚的な手段を取り入れることで、子どもが理解しやすくなります。コミュニケーションの方法を多様化し、子どもが意欲的に反応できるような工夫をしましょう。

④ 日常生活に結びつけながら学ぶ

日常生活の中で学びを取り入れることは、ダウン症の子どもにとって非常に効果的です。

例えば、食事の準備を手伝わせたり、掃除や片付けを一緒に行ったりすることで、生活に必要なスキルを自然に身につけさせることができます。また、学習内容を実生活に結びつけることで、理解しやすくなり、子ども自身の生活能力が向上します。遊びの中でも学びの要素を取り入れることが大切です。

⑤ 専門機関の支援を受けることで、家族だけで問題を抱え込まない

ダウン症のある子どもを育てる中で、時には困難な状況が生じることもあります。そうした時に、専門機関の支援を受けることは非常に重要です。療育施設や医療機関、カウンセリングサービスなど、さまざまな相談先があります。専門家のサポートを受けることで、家族だけで抱え込むことなく、適切な支援を受けることができます。

また、療育手帳を取得することで、必要なサービスを受けることができる場合もあります。支援を受けるために、受給者症(療育手帳)を取得する場合は、関連記事で詳しい流れを確認してみてください。


ダウン症は、根本的に治るというものではなく、家族も長い時間をかけてダウン症と向き合っていく必要があります。そんな時、専門機関とつながることで、家族も支援を受けながら、子どもと一緒に成長していくことができるはずです。

まとめ

ダウン症(ダウン症候群)は、染色体異常により発症する疾患です。主に、筋肉の緊張が低い、発達が遅れるといった特徴が見られますが、発達の進行は個人差が大きく、早期の支援と療育により改善が可能です。

ダウン症には、21トリソミー、転座型、モザイク型の3つのタイプがあり、それぞれ異なる原因や症状があります。また、ダウン症の人々は、心臓疾患や視覚・聴覚の問題などの合併症を抱えることもありますが、適切な治療を受けることで、健康や生活の質を高めることができます。

ダウン症を持つ子どもとの接し方では、個々の特性に合わせた柔軟で思いやりのあるコミュニケーションが求められます。専門機関の支援を受けることも、家族にとって大きな助けになります。ダウン症を持つ方々が充実した生活を送るためには、早期の支援や周囲の理解が不可欠です。家族だけで悩まずに、子どもとの接し方に迷う場合はぜひ専門機関に相談してみてくださいね。

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