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言葉の遅れ、言語発達遅滞とは? 言葉をどう豊かにしていけばいいの? 年齢別に見られるサイン、家庭でもできる支援方法を解説

COLUMN

言葉の発達には個人差があり、子どもの言語発達が目安より大幅に遅れている場合には言語発達遅滞と診断されることがあります。特に幼少期は診断が難しい場合があります。本コラムでは、年齢別の言語発達の目安を紹介するとともに、どのような場合に言語発達遅滞と診断されるのか、またどのように子どもの言葉を豊かにしていけばいいのかについて解説します。

言葉の遅れ、言語発達遅滞とは

言葉を覚え始める時期には個人差があります。そのなかでも、次のようなケースでは言葉の遅れが疑われます。

  • 1歳半で、意味のある言葉が2つ以下しか話せない場合
  • 3歳になっても「ジュースのむ」などの2語文が出ない場合

この状態にはさまざまな原因が考えられます。発達障害や聴覚障害の疑い、家庭環境の影響なども含めて、早期の専門的な評価や適切なサポートが重要です。

言葉が遅れる原因とは

言葉が遅れる原因にはさまざまな要因が考えられます。以下に主な原因をいくつか紹介します。

① 聴覚機能が原因

聴覚障害は、言葉の遅れに直接影響を与える要因の一つです。耳が聞こえにくい、または全く聞こえない場合、言葉を聞いて学ぶことが難しくなり、発語が遅れる可能性があります。また、中耳炎などの一時的な聴覚の問題でも、言葉の発達に影響を及ぼすことがあります。聴力検査を早期に行い、必要に応じて補聴器や専門治療を受けることが重要です。

②「発達性言語障害」が原因

発達性言語障害は、言葉の遅れの中でも特定の言語スキルに困難が見られる状態です。この障害には主に以下の2種類があります。

表出性言語障害とは

表出性言語障害では、言葉の理解はできるものの、自分の思いを言葉で表現することが難しいという特徴があります。言葉を話す際に適切な単語が思い浮かばない、文法的に正しい表現ができないといった問題が見られることがあります。

受容性言語障害とは

受容性言語障害では、言葉を聞いて理解することが難しい状態が見られます。この障害のある子どもは、話しかけられても内容を理解できないため、会話のキャッチボールが苦手という傾向があります。

③ 発達障害や知的障害など、脳機能が原因

自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)、知的障害などの脳機能に関連する障害も、言葉の遅れの原因として挙げられます。これらの障害では、言語だけでなくコミュニケーション全般に影響が出ることが多いため、専門医や療育機関でのサポートが必要です。

④ 性格や環境などが原因

性格的におとなしい子や慎重な子は、言葉の発達がゆっくり進む場合があります。また、家庭環境や育児スタイルにおいて、家族との会話が少ない、言葉を引き出す機会があまりに少ないといった環境では、言葉の遅れにつながることがあります。

年齢別・言語発達の目安

言語の発達は、子どもの年齢に合わせて段階的に進行し、年齢に応じた言語発達の目安より大幅に遅れが見られる際に、「言語発達遅滞」と判断されることがあります。しかし、言語の発達には個人差が大きく、特に年齢が幼い時にはその差が大きくなりやすいです。以下は一般的な言語発達の目安です。

0歳(2ヶ月〜12ヶ月)頃:喃語が出てくる

生後2ヶ月頃から、赤ちゃんは音を発するようになります。最初は「アー」や「ウー」といった単純な音から始まり、6ヶ月頃になると喃語(発音がまだ意味を持たない言葉のような音)が増えてきます。これは言葉を覚える準備段階です。

1歳頃:一語文を話す、指差しができる

1歳を迎える頃、子どもは「ママ」や「パパ」といった単語を話し始めることが多いでしょう。指差しを使って物を指し示し、周囲とのコミュニケーションが活発になります。この時期は、言葉を理解し、意味のある言葉を使うようになる重要な時期です。

2歳頃:二語文を話す、指示が通る

2歳頃には、「ジュース のむ」や「ねこ いる」など、2語を組み合わせて簡単な文を話すようになります。また、指示に従ったり、簡単な会話をすることができるようになり、コミュニケーションがさらに発展します。

3歳〜4歳頃:主語や述語を含む複文を話す

この時期になると、子どもは「私は公園に行く」や「おもちゃを片付けた」など、主語と述語を含んだ文章を使えるようになります。また、日常的な会話ができるようになり、言葉の使い方に幅が出てきます。

4歳〜5歳頃:同世代の子どもとも話せるようになる

4歳から5歳にかけて、子どもは他の子どもたちとの会話ができるようになります。自分の考えや感情を表現することができ、会話を通じて社会的なスキルも身に付けます。言葉の理解力も一層深まる時期です。

5歳〜6歳頃:日本語の仕組みを理解する、言葉遊びをするようになる

6歳頃までには、日本語の文法や言葉の仕組みを理解し始め、言葉遊びやリズムのある言葉を使うようになります。例えば、早口言葉やなぞなぞに挑戦するなど、言語の楽しさも感じ始めます。

このように、言語発達には段階的な目安が存在しますが、あくまでも参考であり、子どもの発達には個人差があるため、遅れが見られても必ずしも問題にはならない場合があります。気になる場合は、自分で判断せず、小児科医など専門家に相談してみましょう。

言葉の遅れ(言語発達遅滞)の診断基準

言葉の遅れが疑われる場合、自己判断せず、専門機関で適切な診断を受けることが重要です。言語発達遅滞の診断は、発達健診などの機会に行われることが多く、具体的な基準や検査に基づいて評価されます。

1歳半健診頃での言葉の遅れ

1歳半健診では、言語発達の初期段階が適切に進んでいるかが確認されます。この時期には、以下のような基準で言葉の遅れが評価されることがあります。

  • 意味のある言葉が2つ以下しか話せない
  • 親や医師が呼びかけても反応が薄い
  • 指差しなど、非言語的なコミュニケーションがほとんど見られない

これらの特徴がある場合、聴覚や発達全般に問題がないかを調べるための追加検査が行われます。早期に介入を行うことで、その後の発達がスムーズになるケースも多いため、健診での相談が重要です。

3歳健診頃での言葉の遅れ

3歳健診では、子どもの言語能力やコミュニケーション能力がさらに具体的に評価されます。この時期の診断基準には、以下のような要素があります。

  • 「ジュースのむ」などの2語文が話せない
  • 会話のキャッチボールが難しい
  • 指示を理解して行動することが難しい

また、発語だけでなく、言葉の理解や社会的なやりとりのスキルも確認されます。ここで遅れが見られる場合、言語療法士や発達障害の専門家による評価を勧められることがあります。

1歳半健診や3歳健診で気になる点があっても、それがすぐに「言語発達遅滞」と診断されるわけではありません。医師や言語療法士などの専門家によって慎重に判断されます。早期に相談・特性を発見することで、家庭でできるサポートや必要な療育を受けるきっかけになるでしょう。

言葉の遅れがある子どもとの接し方のポイント

言葉の遅れが見られる場合、子どもとの接し方を工夫することで言葉が出やすくなる可能性があります。必ずしも対策をしたからといってすぐに効果が見られるものではありませんが、子どもの特性を理解し、適切な方法で関わる機会を増やすことで、言葉の発達を促す助けとなるでしょう。

① 積極的に話しかける・読み聞かせの時間を増やす

日常生活の中で積極的に話しかけることは、子どもの言語発達にとって非常に効果的と考えられます。
たとえば、子どもが遊んでいる時や食事中に、その状況に合わせた言葉を話しかけることで、語彙の幅が広がります。また、絵本の読み聞かせもおすすめです。色鮮やかな絵や物語の内容によって子どもの興味を引き、楽しい体験として言葉に触れる機会を増やしてみましょう。

② 子どもの動作に言葉を添える

子どもが興味を示しているものや行動に、簡単な言葉を添えることで言葉の学びをサポートできます。たとえば、子どもがボールで遊んでいる場合に「ボールだね」「ポーンって投げたね」といったように、その行動を言語化します。こうすることで、言葉と行動を結びつける感覚が自然と育まれます。

③ 子どもへの声かけの仕方・声の出し方を意識する

子どもに話しかける際には、以下のポイントを意識すると効果的と考えられます。

  • ゆっくり、はっきり、穏やかな声で話すことで、言葉の音を聞き取りやすくする
  • 短い言葉で話すことで、情報を整理して伝える
  • 絵や実物、ジェスチャーを活用して、視覚的な情報を補足する

これらの工夫により、子どもが言葉の意味を理解しやすくなることが期待できます。

④ 言葉を使った遊びや歌を取り入れる

遊びや歌は、子どもの興味を引きつつ、言葉の発達を促す有効な手段です。たとえば、リズムに合わせた手遊び歌や単語を使った簡単なゲームは、楽しい体験を通じて言葉を学ぶ機会となります。特に歌は、言葉のリズムや発音を自然に身につける方法の一つです。

⑤ 先回りして話さない、言い間違いを注意しすぎない

子どもが言葉を話そうとしているときに、保護者が先回りして話してしまうと、学ぶ機会を奪うことになります。子どもが自分で言葉を探し、伝えようとする努力を尊重しましょう。また、言い間違いを過度に指摘するのではなく、正しい言葉をさりげなく使ってモデルを示すことが大切です。たとえば、「にゅうにゅう のむ」と言った場合には、「牛乳が飲みたいの?」と自然に正しい表現を繰り返します。子どもの話したい・伝えたいという意欲を損なうことなく、正しい言い方に自然に触れる機会を増やすよう心がけてみましょう。

まとめ

子どもの言語発達には年齢ごとに段階的な目安があります。小さい頃ほど個人差は大きく、他の子どもと同じように話せないからといって、すぐに言語発達遅滞と診断されるわけではありません。

一方で、言語発達遅滞は、聴覚機能や脳機能など、様々なケースが考えられるため、早期から専門的な診断と治療・サポートを受けることが重要です。また、家庭での接し方・声かけの仕方を工夫することも大切ですが、「どのように接すれば良いのかわからない」「自分自身の接し方が適切なのか不安…」という保護者の方も少なくないでしょう。

AIAI VISITでは、集団生活中のお子さまを見ながらお子さまの特性を把握し、適切な接し方についてサポートすることができます。言葉の遅れが気になるという場合は、一度お気軽にお問い合わせください。

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