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「受給者証」とは?種類や療育手帳との違い、児童発達支援・放課後等デイサービス利用開始までの流れについて解説

COLUMN

児童発達支援や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などを利用する際は、「受給者証(通所受給者証)」の取得が必要です。初めて受給者証という言葉を耳にした方は、「我が家のケースでも受給者証は取得できる?」「受給者証取得までの流れがイメージできない…」など、不安に感じられる方も少なくないのではないでしょうか。

そこで今回は、「受給者証」について詳しく解説します。受給者証を取得することでどんな福祉サービスが受けられるのか、受給者証取得のために必要な申請書類や手続きの流れについても紹介しているので、受給者証取得を検討している方はぜひ一度チェックしてみてくださいね!

受給者証とはどんなもの?

「受給者証」(正式名称は障害福祉サービス受給者証)とは、福祉サービスを利用するために必要なものです。申請を出して認定を受けると、市区町村から発行されます。

受給者証を取得すると、児童発達支援や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援など、児童福祉法に基づいて運営している事業所が提供するサービスが利用できるようになります。また、利用料に関しても公費負担を受けることができます。

受給者証には、受けられるサービスの種類、支給量(=1ヶ月に福祉サービスを利用できる日数)、負担上限月額、利用者情報などの必要な情報が記載されています。

受給者証にはいくつか種類がある!

福祉サービスを利用するための証明書のことを、一般的には「受給者証」と呼びます。受給者証は、「福祉サービスを受けるためのもの」と「医療を受けるためのもの」の大きく二つに分けられます。

福祉サービスを受けるためのものとしては、児童発達支援や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援を利用する時に必要な「通所受給者証」や、施設に入所する時に必要な「障害児入所受給者証」などがあります。

医療を受けるためのものとしては、「障害者医療費受給者証」や「自立支援医療受給者証」などがあります。

今回は、児童発達支援や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などの障害児通所支援を利用する時に必要な「通所受給者証」について紹介します。

受給者証は、「療育手帳(障害者手帳)」とは何が違うの?

受給者証は、福祉サービスの受給資格があることを証明するためのものです。

一方で、「障害者手帳」は一定以上の障害があることを証明するものであり、障害の種類によって3種類に分けられています。

視覚障害や聴覚障害、肢体不自由などの場合は「身体障害者手帳」、気分(感情)障害や統合失調症、てんかん、発達障害などの場合は「精神障害者保健福祉手帳」、知的障害の場合は「療育手帳」(※「愛の手帳」など自治体によって名称が異なる場合があります)が発行されます。

受給者証と、これらの障害者手帳は全く別物です。障害者手帳を持っていなくても、受給者証を発行してもらうことは可能です。

受給者証があると何ができる?

受給者証(通所受給者証)を取得すると、児童福祉法に基づいて運営されている、障害児通所支援事業者等のサービスを利用することができるようになります。

詳しく見てみましょう。

児童発達支援(児発)が利用できる

児童発達支援(児発)とは、障害がある小学校就学前・6歳までの子どもが通い、支援を受けるサービスのことを指します。日常生活の自立支援や機能訓練を行ったり、保育園や幼稚園のように遊びや学びの場を得たりします。

放課後等デイサービス(放デイ)が利用できる

放課後等デイサービス(放デイ)とは、障害が小学生・中学生・高校生の6歳〜原則18歳までの子どもが通い、支援を受けるサービスのことを指します。日常生活で必要な自立につながる訓練や社会との交流、他の子どもたちも含めた集団の中での生活を通して、それぞれの子どもの状況に応じた発達支援を受けることができます。

保育所等訪問支援が利用できる

保育所等訪問支援とは、障害のある子どもが保育所や学校などで集団生活を送るための支援を受けるサービスのことを指します。保育園や幼稚園、小学校、特別支援学校などに訪問支援員が訪れ、対象となる子どもの行動を観察して、子どもに直接支援を行ったり、周りのスタッフに対して間接支援を行ったりします。

「保育所等訪問支援」について詳しくは関連記事で紹介しています。気になる方はぜひチェックしてみてください。

各種サービスの利用料について公費負担が受けられる

受給者証を取得すると、ほとんどのケースで利用料の9割が自治体負担・1割が利用者負担という形で福祉サービスを利用することができます。

そもそも、障害者通所支援では、月毎に利用した回数などによって利用者の負担額が決まります。例えば、1回あたり利用者負担が1,000円の場合は、月に10回利用すると月額10,000円が利用者負担になります。

受給者証を取得している場合、世帯所得の金額によって、月毎の利用者負担の上限金額が決まります。

生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯の場合:負担上限額は月額0円

市町村民税非課税世帯(前年度の年間所得が約920万円まで)の場合:負担上限額は月額4,600円

市町村民税課税世帯(前年度の年間所得が約920万円以上)の場合:負担上限額は月額37,200円

受給者証を取得して障害児通所支援を利用する場合は、この負担上限月額が適用され、利用回数が増えたとしても、利用者自身が負担する金額は負担上限月額内に抑えられることになります。

受給者証が申請できる対象はどんな人?

受給者証(通所受給者証)は、児童福祉法で定められた条件に合致する場合、取得の申請を行うことができます。

  • 身体に障害がある場合
  • 知的障害がある場合
  • 精神に障害がある場合(発達障害を含む)
  • 障害者総合支援法の対象になる難病の場合

また、上記に当てはまらない場合でも、医師などから療育や福祉サービスを受ける必要性が認められている子どもについては、専門家の意見書があれば受給者証の申請を行うことができます。必ずしも障害者手帳(療育手帳)や医学的な診断書がなければ受給者証が取得できないというわけではありません。受給者証の取得を検討している場合は、自治体の窓口や医師など、専門家に一度相談してみてください。

受給者証の申請に必要なものは?

受給者証(通所受給者証)を申請する際に必要な書類は、市区町村によって異なります。申請前に必ずお住まいの自治体の情報を確認してみてください。

一般的に必要と言われている主な書類は下記の通りです。

① 支給申請書
受給者証(通所受給者証)の取得に関して申請を行う物です。自治体の窓口でもらえたり、自治体のホームページからダウンロードしたりすることができます。

② 障害児支援利用の計画案
どのような内容で福祉サービスの利用を検討しているか、計画書にまとめたものです。相談支援事業所に発行を依頼することができます。もしくは保護者や支援者本人が作成したセルフプランでも申請は可能です。

③ 支援が必要だとわかるもの
障害者手帳、診断書、医師の意見書など、さまざまな形態の資料が認められています。

④ 負担上限金額の申請に必要な書類
利用者の負担上限金額決定のため、世帯状況申告書、課税情報取得同意書、市民税課税(非課税)証明書などが必要になる場合があります。

⑤ マイナンバーが確認できる書類
基本的に申請者(=保護者)と子どもの両方のマイナンバーが必要になります。

受給者証を取得するまでの流れ

受給者証(通所受給者証)を取得するまでの流れも市区町村によって異なります。必ず事前にお住まいの自治体の情報を確認してみてください。

一般的な流れについて紹介します。

① 施設の見学・相談を行う

児童発達支援や放課後等デイサービスの事業所に見学・利用の相談に行くことは、受給者証を取得していなくても可能です。

あらかじめ利用したい事業所(施設)を探しておき、空き状況や利用に向けた相談を行っておくと、その後の手続きや契約がスムーズになるケースが多いでしょう。

複数の事業所を見学して、自宅からの通いやすさや受けられるサービスの内容、施設やスタッフの雰囲気、何より子どもに合っているかなどをチェックしてみてください。

まだ医師やクリニックで子どもの発達について相談したことがない場合は、まずは診察に行き、療育など福祉サービスの利用が必要かどうか相談してみてください。

② 障害児通所支援の利用について、担当窓口に相談する

利用したい事業所が決まったら、お住まいの市区町村の担当窓口、もしくは指定特定相談支援事業所で、福祉サービスの利用相談を行います。ここで詳しい申請の流れや必要書類などをしっかり確認しておきましょう。

③ 利用申請を行う

必要書類が揃ったら、市区町村に申請を行います。

申請をする時に必要な「障害児支援利用計画案」については、相談支援事業所に依頼をして発行してもらうか、セルフプランとして保護者や支援者自身が作成することができます。市区町村によっては、セルフプランでなく相談支援事業所での作成を推奨している場合もあるため、事前に確認しておくと安心でしょう。

④ 調査・審査を通して、通所支給の要否を決定する

申請が完了したら、市区町村の調査員が障害状況の程度や家庭環境、生活状況などに関する聞き取り調査(アセスメント)を実施します。面接調査や訪問調査、サービス利用意向の聞き取りなどを通して、子どもに必要なサービスの利用日数や内容について検討が行われます。

⑤ 支給が決定したら、受給者証(通所受給者証)が発行される

さまざまな調査・審査の結果、福祉サービス利用が妥当だと判断されると支給決定となります。通所支給の決定通知書とともに、通所給付の対象となる障害児通所支援の種類、支給量、有効期限などが記載された受給者証が発行されます。

⑥ 事業所と契約を行い、サービスの利用を開始する

受給者証が取得できたら、正式に利用する事業所と直接契約を結んでから、実際にサービスの利用が開始となります。

受給者証を取得するまでにはどれくらいの期間がかかる?

受給者証(通所受給者証)の申請を行ってから、実際に発行されるまでにかかる期間は市区町村によって異なります。

例えば、東京都では申請から受給者証の発行まで、おおむね1ヶ月半〜2ヶ月程度かかるとしています。1ヶ月以内を目安としている市区町村もありますが、一定以上の時間はかかるものとして、早めに申請を進めるようにすると良いでしょう。

また、受給者証が発行されても、事業所の空き状況次第では、すぐに福祉サービスの利用が開始できない場合もあります。利用を希望している事業所の担当者と、受給者証の申請にかかる時間に併せて、いつから実際に利用が開始できるか、利用開始時期についても相談しておくと良いでしょう。

まとめ

「受給者証」は、児童発達支援や放課後等デイサービス、保育所等訪問支援などの障害児通所支援サービスを利用する際に必要になるものです。受給者証を取得することで、受けられるサービスの幅が広がったり、具体的にどのような支援を行うことが子どもたちにとって望ましいのか、判断する基準になったりします。受給者証の取得には、障害者手帳(療育手帳)や診断書は必ずしも必要ではないため、取得に向けたハードルはあまり高くないかもしれません。

しかし、「初めて福祉サービスを利用するので、受給者証取得までの流れが分からず不安」「子どもの発達に合わせた最適な内容で福祉サービスを利用できるようになるか心配」と感じる保護者の方も多いでしょう。障害児通所支援サービスの利用を検討している、もしくは受給者証の取得・申請について分からないことがある場合は、保育所等訪問支援を行っている「AIAI VISIT」にご相談ください。専門的な知識を持ったスタッフと、お子さまに合わせたサービス利用内容について一緒に考えてみませんか。

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