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3歳児健診で安心!検査内容から発達の遅れへの対応、療育施設まで徹底ガイド

COLUMN

3歳児健診は、子どもの健康や発達を確認する大切な機会です。
子どもの発育状況によっては簡単な会話で意思疎通が可能だったり、公園などで活発に走るなど動きも変わってきます。そんな中で法定検診として実施されるのが3歳児検診です。
3歳の子どもの成長速度は個人差が大きく、「我が子の成長が遅い気がする」と心配になる保護者の方もいらっしゃると思います。
本記事では、3歳児健診の概要や発達の目安、検査内容について詳しく解説します。また、健診の結果「要観察・要フォロー」と判断された場合の対応や、発達障害が疑われるケースについても触れています。子どもの成長を見守るためのポイントや、必要なサポートについて知ることで、それぞれの子どもに合った保護者としての向き合い方を知るきっかけにもなります。


3歳児健診の概要

3歳児健診は、母子保健法に基づいて実施される法定健診で、「満3歳を超え、満4歳に達しない幼児」が対象となります。この健診の目的は、幼児期における健康や発達の個人差がより明確になるこの時期に、子どもの心身の状態を総合的に確認し、必要に応じて適切な支援につなげることです。
この健診では、身体的な発育や心理的な発達の状況を詳しくチェックし、保護者への育児相談やアドバイスも行われます。これは、子ども一人ひとりの健やかな成長を支える上で重要であり、また保護者の方が日頃の育児の相談をするきっかけにもなるため、重要な健診の一つです。


3歳児の発達の目安

子どもの成長には個人差があり、身体・生活面・言葉やコミュニケーションの発達がそれぞれ異なるペースで進みます。どの程度の状態が3歳児の一般的な発達状態といえるのかについて、その目安を紹介します。

身体的な発達

3歳になると、子どもの身長や体重が大きく伸びる時期です。目安として、

  • 男の子:身長 95.1cm~98.7cm、体重 14.1kg~15.0kg
  • 女の子:身長 93.9cm~97.5cm、体重 13.5kg~14.6kg

また、この時期は運動能力の発達が著しく、手先の器用さも向上します。例えば、ブロックを積み上げたり、ハサミを使って簡単な工作をしたり、三輪車に乗ったりすることができるようになります。

生活力の発達

3歳になると、日常生活において少しずつ自分でできることが増えていきます。具体的には、

  • 一人で着替えができる
  • トイレを自分で済ませられる
  • 食事を一人で食べられる

ただし、これらの習得には個人差があり、一人ひとりの成長ペースを尊重することが大切です。

心と言葉の発達

この時期の子どもは自我が発達し、「やりたい」「やりたくない」といった自己主張がはっきりしてきます。また、相手の気持ちを少しずつ理解しようとする姿勢も見られるようになります。
言葉の面では、語彙が増え、会話がよりスムーズになります。絵本の内容を理解したり、簡単な数を数えたり、大きさの違いを比べたりすることができるようになり、認知能力も発達していきます。

コミュニケーション力

3歳児は、周囲の人との関わりを通じて社会性を学びます。友達とのごっこ遊びや集団遊びの中で、順番を待つことやルールを守ること、自己主張と譲ることのバランスを覚えていきます。
発達には個人差があるため、子どもの成長を温かく見守りながら、それぞれのペースを尊重することが大切です。3歳児健診を通じて、子どもの成長の様子を確認し、必要に応じたサポートを受けることで、より安心して子育てに向き合えるでしょう。

検査内容

3歳児健診では、子どもの心身の発達状況を総合的に評価するため、様々な検査が実施されます。それぞれの検査の目的と内容について詳しく見ていきます。

① 身体測定

身体測定では、身長、体重、頭囲、胸囲、腹囲などの基本的な計測が行われます。これらの測定値は、お子様の成長曲線と比較され、発育状況が評価されます。測定結果が標準値から大きく外れている場合は、栄養状態や成長に関する精密検査が必要となる場合があります。

② 視力検査

視力検査は、アンケート方式による問診と実際の視力検査の2段階で行われます。検査では、ランドルト環や絵を使用して、一定の距離からどの程度見えるかを左右それぞれで確認します。テレビや絵本を見るときに目をこする、近くのものがよく見えないなどの症状がないかも確認されます。

③ 聴覚検査

聴覚検査では、ささやき声検査とアンケートによる評価が実施されます。具体的には

  • 耳元でささやかれた動物の名前と絵を一致させる
  • 指をこする音を聞かせる
  • 簡単な言葉のオウム返しができるか確認する

④ 歯科検診

歯科検診では、以下の項目について確認が行われます

  • 歯の形や数の確認
  • 虫歯の有無
  • かみ合わせの状態
  • 歯磨きの習慣
  • 食生活の状況

⑤ 尿検査

尿検査は健診当日の朝一番の尿を採取して行います。この検査の主な目的は先天性腎尿路奇形の発見です。自宅で採取できなかった場合は、健診会場での採取も可能です。

⑥ 行動観察

医師や保健師が子どもの行動を観察し、以下の点を評価します

  • 自分の年齢や名前が言えるか
  • 絵を見て名前を答えられるか
  • 言葉の発達状況
  • コミュニケーション能力
  • 社会性の発達状況

⑦ 診察・問診

医師や保健師による診察では、子どもの健康状態や発達状況、親子関係について総合的な評価が行われます。また、予防接種の状況確認や事故防止についての指導も行われ、保護者からの相談にも応じています。

自宅で行う検査・準備

健診をスムーズに進めるため、以下の準備が必要です

  • 尿検査用の採尿
  • 視力・聴力に関するアンケートの記入
  • 問診票への回答
  • 母子手帳の準備

特に尿検査については、トイレトレーニング中の子どもの場合、事前に採尿の練習をしておくことをお勧めします。保護者の説明を理解してくれるようになってきている頃ですが、子どもによってはいつものトイレと違うことをするので、不安になってしまうこともあります。必要に応じて採尿袋の使用も検討しましょう。
また、アンケート・問診票は記入項目が多いため、あらかじめ記載しておくようにしましょう。

3歳児健診で「要観察・要フォロー」と判断されるケース

3歳児健診といっても、すべての子どもが同じペースで成長するわけではありません。健診の結果によっては「要観察」や「要フォロー」と判断されることがあります。しかし、子どもの発育や健康状態をより詳しく確認し、必要に応じた適切な支援を提供するための重要な機会です。ここでは、どのようなケースで要観察·要フォローとなるのかを紹介します。

成長の問題:低身長、高身長、痩せすぎ、肥満など

身長が低すぎる、痩せすぎている、肥満気味であるなど、成長曲線から外れている場合には、栄養指導が行われたり、医療機関を紹介されたりすることがあります。これは、お子様の健康的な成長を支援するための重要なステップです。

難聴

自宅での一次検査や会場での二次検査、あるいは保護者によるアンケートにより難聴が疑われる場合は、耳鼻咽喉科の受診を促されます。早期発見により、適切な支援や治療を開始することができます。

斜視や弱視

視力検査で異常が見られた場合や、目について気になることがある場合は、検査会場で再度眼科健診を行います。必要に応じて、専門医による精密検査が推奨されます。

言葉の遅れ

3歳児の場合、2語文以上の発話がなかったり、自分の名前や年齢が言えなかったりすると、詳しい検査を勧められる可能性があります。ただし、初めての場所での緊張や興奮が原因で普段の子どもの状態を検査できず、再検査となることもあります。

対人関係・コミュニケーションの発達の遅れ

簡単な会話が成立しない、他児に興味を示さない、コミュニケーション能力など社会性の発達の遅れが見られると、再検査や要観察となることがあります。

3歳児健診でひっかかる割合

地域や年によって異なりますが、おおよそ20〜30%程度の子どもが何らかの指摘を受けると言われています。これには「もう少し様子を見ましょう」という軽度なケースも含まれており、決して珍しいことではありません。

3歳児健診で発達障害が疑われる場合

3歳児健診では、言葉の遅れや対人関係の発達の遅れが指摘されることがあります。「もう少し様子を見ましょう」という軽度な場合は、日常で気を付けながら…という場合もありますが、発達の遅れの要因が、発達障害の可能性を示唆する場合、より詳しい評価や専門的な支援が推奨されることがあります。発達障害は早期に適切な対応を行うことで、子どもが自分の特性を活かしながら成長できる環境を整えることができます。ここでは、発達障害についての基本的な情報を紹介します。

発達障害とは

発達障害は、生まれつき脳機能の発達に偏りがあることで、物事の捉え方や行動に違いが生じる状態を指します。主に以下の3つに分類されます

  1. ADHD(注意欠如・多動症)
    主な特徴:落ち着きがなく、集中が続かない、衝動的な行動が目立つ。
    ADHDについて詳しく知りたい方はこちらから
  2. ASD(自閉スペクトラム症)
    主な特徴:他者との関わりが苦手で、こだわりが強く、興味の幅が狭い。
    ASDについて詳しく知りたい方はこちらから
  3. LD(学習障害)/SLD(限局性学習症/限局性学習障害)
    主な特徴:読み書きや計算が極端に苦手で、学習面に困難が見られる。
    LDについて詳しく知りたい方はこちらから


発達障害についてもっとも重要なことは、発達障害は後天的な病気ではなく、発達障害は「本人の努力不足」や「親のしつけの問題」ではありません。あくまでも脳発達の偏りから起こります。そのため、保護者の方がご自身を責める必要はありません。子どもの特性を理解し、子ども1人ひとりに合ったサポートや環境を整えることが重要です。

早期発見・早期治療・支援の重要性

早期発見と適切な支援は、お子様の健やかな成長にとって非常に重要です。早い段階で必要な配慮・支援を得ることで、二次的な問題を減らし、その子に合った環境で生活することができます。特に、乳幼児期は、言葉の発達やコミュニケーション能力、社会性など、将来の基盤となる重要な時期であり、適切な支援を受けることで、より良い発達を促すことができます。

3歳児健診で「発達に遅れがある」と言われたときの対応

3歳児健診で「発達に遅れがある」という指摘を受けた場合、多くの保護者の方が不安を感じられることでしょう。しかし、この時期の発達には大きな個人差があり、一時的な遅れである可能性も十分にあります。3歳児健診ではどこまで発達の遅れを断定できるのか、その後どのように我が子と関わっていくのかをしっかり考えることが重要です。

「発達障害」と確定はできない

3歳児健診はあくまでもスクリーニング検査であり、この時点で発達障害の確定診断を行うことはできません。発達の遅れが見られても、その後の支援や環境調整によって成長していくお子様も多くいます。
発達障害と確定するには精密検査やさらに細かな問診・チェックテストなどが必要となります。

深刻になり過ぎず、冷静に子どもの様子と向き合う

お子様の発達に関する懸念は、決して悪いことではありません。むしろ、早期に気づくことで適切な支援を受けるチャンスとなります。まずは、以下のポイントを意識して日常生活を送ると不要な焦りやストレスが緩和されるかもしれません。

  • お子様の得意なことや興味のあることに注目する
  • 日々の成長を肯定的に捉える
  • 他のお子様と比較せず、個々の発達のペースを尊重する

経過観察

3歳の発達は個人差があるので、焦らずに子どもの様子を見てあげることも重要です。経過観察期間中は、以下の点に注意を払いましょう。

  • 日々の様子を記録する
  • 気になる行動やできるようになったことをメモする

こうすることで、子どもの発達状況の変化に気づきやすくなります。また、専門家に相談する際に専門家の方がスムーズかつ的確に子どもの状況を理解しやすくなります。

かかりつけ医・専門医に相談

心配な点がある場合や何らかの指摘があった場合は、以下の専門家に相談することがおすすめです。
一人で考え込まず専門家の知見を借りることで、子どもの状況にあった的確なサポート法が見つかる可能性があります。

  • 小児科医
  • 児童精神科医
  • 発達障害専門医
  • 言語聴覚士
  • 作業療法士

療育施設に通う

保護者の方が自分達だけで子どものサポートをしていくのは難しいことです。日常を過ごす中で、子どもの状態を理解していたとしても、うまく行かないことも多く悩んでしまう方も多くいらっしゃいます。そんな時は療育施設に相談してみてはいかがでしょうか。
療育施設では、お子様の発達段階に応じた専門的な支援を受けることができます。主な療育プログラムには以下のようなものがあります。

療育の種類と効果

感覚統合療法

粗大運動や微細運動の発達を促す運動遊びを通じて、体の使い方や協調運動を学びます。また、運動を通じて

  • バランス感覚の向上
  • 身体意識の発達
  • 空間認知能力の向上

が期待できます。

・感覚統合療法

感覚情報を適切に処理し、整理する能力を育てる療法です。主な効果として

  • 感覚過敏の緩和
  • 姿勢保持の改善
  • 注意力の向上

などが挙げられます。

・言語療法

言語聴覚士による専門的な指導を通じて、以下のような発達を促します

  • 語彙の増加
  • 発音の改善
  • コミュニケーション能力の向上

療育を受けることで、お子様の発達が促進されるだけでなく、保護者の方も専門家からアドバイスを受けることができます。また、同じような悩みを持つご家族との交流を通じて、育児の不安を軽減することもできます。

まとめ

3歳児健診は、子どもの健康や発達を確認し、必要なサポートにつなげる大切な機会です。発達には個人差があり、成長の遅れを指摘されても焦らず、子どものペースを尊重することが大切です。

また、要観察や要フォローと判断された場合や発達障害の疑いを指摘された場合は、不安になってしまうかもしれませんが、落ちついて専門家の意見も借りながら、子どもに最も合ったサポート方法を見出していくのが重要です。周囲の助けを借りて、適切な支援を受け、子どもの環境を整備してあげることで発達を促すことができます。

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